おじいちゃん、おばあちゃんが、「ここで暮らせて本当によかったなぁ」と心から思う高齢者向けホームって、どういうところでしょうか?
いきいきと毎日を過ごし、なじみの仲間もいるあたたかな居場所。
ケアをする人・される人という関係を超えて、その場のみんなが「ともに生きる」ことができるホーム。
地域や社会とつながり、生きがいを感じながら、日々を過ごすことのできる活動の場。
最期までやさしさに包まれながら、人生をまっとうできる場所。
これらすべてが込められているような高齢者向けホームなんてあり得ないだろうと思われるでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。これらすべてが実現できているホームは、実際にあるのです。
それでは一体、どのようなことをすれば、そのような「ともに生きる」ホームをつ くることができるのでしょうか?
本書には、そのための考え方や新たな実践をするためのヒントがまとめられています。
(本文内「はじめに」より抜粋)
加藤 忠相
あおいけあ代表
本当に大切なことばかり。
この30のことばが全てのケアの現場に届いてほしい。
下河原 忠道
株式会社シルバーウッド代表取締役
私たちが運営を行う高齢者住まい「銀木犀(ぎんもくせい)」の背景となるのは、「ここは家」という考え方。家といっても、単に自立した人たちにとっての意味での「家」ではない。 また、そこに住む入居者は、世話になっているという遠慮を常に抱えて暮らしている。それは、かつて自分が息をするよう自然に暮らしていた、誰にも制限されることのない生活とは全く違う環境なのだ。そこで必要になってくるのが「ともに生きる」という発想。この書には、そのヒントが隠されいてる。それは決して答えではなく、介護職自らが創造的に活動するための「頭の道具」なのだ。
堀田 聰子
慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科教授
本書を読んで思い浮かんだのは、「コンヴィヴィアリティ(自立共生)」です、哲学者イヴァン・イリノチは、生産性が追求される社会において人間らしさを取り戻すには共同性の回復が必要だと考え、共通の時間、感情を他者と分かちあうことによる幸福の創造という意味合いでこの言葉を選んだと述べています。 コンヴィヴィアリティの原義は「宴」。人どうし、人と環境との自立的で創造的な交わりを模索する方々が、楽しさ・愉しさを中心に、身のまわりに互いのいのちを肯定する輪を広げていくことを、本書の30のことばはきっと助けてくれるでしょう。
小川 泰子
社会福祉法人いきいき福祉会理事長
ケアの現場がマニュアル文化となり、技法を重視しすぎることにずっと「NO」の思いを持ち続けていたときに出会ったのが、ケアとことばの生活福祉文化でした。ことばで心が近づき、互いの協働が生まれる。職員研修をお願いしてみて気づいたのは、『ともに生きることば』を通じて「ケアの本質」をそれぞれ自分で見つけ出すということでした。 また、高齢者や介護従事者の「多文化共生」、さらには国籍や文化的背景が違う人たちがいる時代の「多文化共生」、その解決の一歩、それがこの『ともに生きることば』。
秋元 可愛
株式会社 Blanket 代表取締役 KAIGO LEADERS 発起人
「よいケアをしたい」「最近仕事がマンネリ化してしまった」と感じているケア職に手にとってほしい本です。私が現場で働いていたとき、「生きていることが申し訳ない」と言うおばあちゃんがいました。今振り返ると、「もっとできることがあったな」と思うんです。介護が必要になってもいきいき暮らし続けるヒントが、この本には詰まっています。たとえば、30の切り口から自分のケアを振り返ってみたり、今月強化したい3つの「ことば」を選んでみたりと、ケアの現場の数だけ活用方法があると思います。そして、この「ともに生きることば」は、誰もが介護に関わるのが当たり前の時代だからこそ、”高齢者向けホーム”のなかだけでなく、社会の共通言語になってほしいと感じています。